澤田病院 腎臓病センター

Electrolyzed Wate HD System

「電解水透析とは」(東北大学と日本トリムとの共同研究)

一般的な「血液透析」では、尿毒症性毒素(uremic toxin)に汚染された血液を体外に導き、その一定量の血液を人工腎臓と呼ばれるダイアライザーに送り、「老廃物除去」「電解質補正」「過剰水分除去」を行い、血液をきれいにして体内に戻す方法がとられています。
 この透析には、1回あたり4時間とすると120ℓの透析液が必要です。
透析液は透析液原液をRO水で希釈して作られます。従来の透析と電解水透析の違いは、後者では「電解RO水」を希釈用の透析用水として使用している点にあります。この電解RO水は、溶存水素を多量に含む「電解陰極水」をRO処理して作られるものです。これにより、電解水透析システムで生成される希釈水や透析液には、一定の水素ガスが溶存するユニークな特性が付加されます。

透析と酸化ストレス

現在、わが国における透析患者の平均余命は一般人口の約半分と短く、その死亡原因の56.8%は脳心血管病および感染症が占めます。
その原因として尿毒症自体に起因する、そして血液透析治療による炎症反応および酸化ストレスが大きく関与して動脈硬化を促進していると考えられています。こう書くと炎症反応は悪い反応のように見えますが、炎症反応とは異物の侵入や細菌感染・科学的・物理的作用によって異物化した組織(障害された、壊死に陥った組織など)を排除しようとする生体の防御反応を意味し、生体生存のために必要な反応です。
透析治療は生体と非生体が接する治療ですから、必ずや非生体を異物と認めた炎症反応が生じます。この炎症反応をできるだけ少なくする試みとして、生体適合性の良好な透析膜への改良(補体活性化や好中球・単球の活性化が少ない膜)や透析液を清浄化し細菌やエンドトキシンによる汚染を少なくする試みなどが行われてきました。

酸化ストレスを軽減するために

それでもなお、組織障害の目安となるC反応性蛋白陽性例は透析患者の20~60%いると報告されています。また、透析患者死亡率を減少させるために酸化ストレスや炎症を軽減する臨床研究もなされてきました。脂質異常症の治療薬のスタチン投与、降圧剤であるアンジオテンシン変換酵素阻害剤やアンジオテンシン受容体阻害剤の投与、抗酸化作用のあるビタミンEやビタミンC投与などです。
しかし、効果があるという報告とないという報告がそれぞれあり、明確な治療指針とはなっていないのが現状です。
我々も少ない症状ながら、電解水を使った透析に変更後、掻痒感の減少、四肢冷感の改善、透析後の疲労感の軽減症例を経験しています。
電解水を使った透析によると思われる有害な反応は認めていません。
最近、電解水に含まれる水素がヒドロキシラディカルと反応し、酸化ストレスや炎症反応を抑えることが透析患者で確認されてきました。また、血圧を下げる効果があることも観察されています。
このように電解水を使った透析システムは、透析による酸化ストレスや炎症反応を軽減させ、これによる透析患者の脳血管病や感染発症を予防・減少させる可能性をもっていると考えられます。
多数例でのより長期間にわたっての電解水を使った透析の良好な結果が期待されています。

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